樋口三郎の授業情報@龍谷大学先端理工学部数理・情報科学課程

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瀬田学舎8-102講義室での講時内ハイブリッド授業(ライブ配信)の実験 教室AVシステムとビデオ会議で

講時内ハイブリッド授業はメディア授業(同時双方向型)

初等中等教育で行われている「ハイブリッド授業」すなわち, 教室内の教員生徒と, オンライン(自宅)の生徒で行う形態の授業は, 高等教育(大学)に置きかえると, メディア授業告示*1第1号の同時双方向型(テレビ会議型)(で, 2020年度前期はサブ会場を学生自宅にできる扱い)に相当する*2.

大学の講時内ハイブリッド授業では教室AVシステムとの接続が必要

小中高等学校と異なり, 大学には大きな教室もあり, 教員や学生の声が教室備付のマイクを通さないと全体に聞こえない, 提示映像を教室の(複数)プロジェクターやディスプレイに出さないと全体から見えない, 場合がある. これとリモート側とを接続する必要がある. そういう場合を想定した実験を以下で述べる.

注意

この記事で解説しているやり方は, 2020-09-02ごろに検討されている授業モデル(マイクとして, PC本体のもの, PCに有線接続された会議スピーカーを使うもの)とは異なります.

parabola

実例で: Microsoft Teams + MacBook + 龍谷大学瀬田学舎8-102

両側に資料提示

PCのデスクトップまたはウィンドウをTeamsで画面共有, PCの外部ディスプレイ出力を教卓の「ノートPC」画像入力に接続. 教室の「送出選択」で「ノートPC」を選択

カメラ映像をリモート側のみに送りたい場合

PCのカメラで撮った(たとえば黒板の)画像をリモート側に送りたい場合, 教員の顔画像として使うこともできるが, 最小化されたり, グリッド表示のひとつとなったりしないようにする必要がある. 別アプリケーションでいったんウィンドウとして表示して, それを画面共有すれば, 必ず大きく表示される.

教室のマイク音声をリモートに送る

教卓の「収録用出力」をPCの音声入力(マイク入力やオーディオインターフェースのLINE入力)に接続. Teamsのマイクロフォン入力としてこれを選ぶ.

リモートの音声を教室のスピーカーに送る

PCの音声出力(ヘッドフォンやオーディオインターフェースのLINE出力)を教室の「ノートPC」*3音声入力に接続. Teams のスピーカーとしてもこれを選ぶ.

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手順の動画(教室のマイク音声の部分はやってません)

youtu.be

エコーやハウリングは, 対面側にもリモート側にも起きなかった*4.

PCにはマイク入力, ヘッドフォン出力があるので, 何段階かの変換を経て「ノートPC」音声入力, 「収録用出力」音声のLINEにつなくぐことも可能だろうが, 変換のたびにノイズを拾うし, レベルの調整の問題もあるので, LINE入出力を持つ USB オーディオインターフェースを追加するのが賢明だろう.

また, 「リモートの音声を教室のスピーカーに送る」が不要であれば, 入力のみ持つビデオキャプチャバイスの音声のみを使うこともできる.

龍谷大学瀬田学舎8-102(たぶん101, B10?も同じ)の事情

収録用出力のオーディオLINE出力からスピーカー出力と同じもの(少なくともマイク)が出ていたからこういうことができたわけだが, コンポジット映像(黄色)からは何が出ているのか?

実験したところ, この映像には, DVD/Blurayプレイヤー, VHSプレイヤーの出力のうち(モニターでなく)プロジェクターへの送出に選択されたものが出ている. 設置PC, 持込PC, OHCの出力が出ることはない. 外部映像入力について未検証. オーディオも, おそらくマイクの音声にDVD/Bluray/VHSの音声が乗るのだろう*5

コピープロテクトのかかったDVD/Bluray/VHSの公衆送信は, 2020年度以降の授業利用であっても許容されないという見解もあるので慎重に.

macOSの事情

今回は MacBook Pro 2017, macOS 10.15 Catalina で試した.

最近の MacBook にはイヤフォンとマイクを兼ねた4極の差込口があるが, 上でも書いたように USB オーディオインターフェースを追加するのが賢明だろう. 今回はベリンガー 2入力2出力 デジタル出力搭載USBオーディオインターフェース ホワイト UCA202 U-CONTROLを給電ありのUSB-C hub を経由して接続した*6.

ディスプレイ上についているカメラの画像を, 画面共有のためにウィンドウ内に出すには, Teamsアプリ自身や, macOSについてくるQuick Time Player が使える.

ビデオ会議システムによる違い(Microsoft Teams, Google Meet, Zoom)

上の例はMicrosoft Teams だが, マイクとスピーカーの設定を読み替えれば, Google Meet, Zoom でも同様と思われる. ただし, ノイズやエコーやハウリングを低減するクラウド側のシステムの特性はビデオ会議システムごとに異なるので, これらの点については実験する必要がある.

*1:平成13年文部科学省告示第51号(大学設置基準第二十五条第二項の規定に基づく大学が履修させるこ とができる授業等

*2:科目の回の一部がメディア授業になる科目内ハイブリッド授業は従来から認められているもの, 学部学科の一部の科目が対面で一部の科目がオンラインとなるプログラム内ハイブリッド授業は, 大学設置基準第 32 条第5項の定める卒業単位のうち60単位以下を学則で定めてメディア授業とできる

*3:「外部入力」ではない. 映像と音声は組として「送出選択」されるので

*4:すなわち, 京都大学 Panda/Zoom/Kaltura利用支援サイト 複数端末を利用する場合の注意(エコーを起こさないために) の図「マイナスワン対応の場合」の状況になっているものと思われる.

*5:プロジェクターへの送出に選択されたすべての映像, スピーカーにでるすべての音声が出るなら, より完全な配信/録画が, DVDレコーダーや専用機 アイ・オー・データ I-O DATA アナ録 GVVCBOX/8L ビデオキャプチャーBOX SDHC8GB セットモデル SDHC8GBセットビデオキャプチャビデオキャプチャー デジタルデータ化 USB接続 PC/DVD等にデジタル保存Windows・Mac対応 ブラックで行えるわけだが, そういうものではなかった. よっぽどOHCをそっと教卓から剥がして黒板を映すのに使おうかと思ったのだが. アップスキャンコンバータは入ってないのね.

*6:ビデオキャプチャー デジタルデータ化 USB接続 PC/DVD等にデジタル保存Windows・Mac対応 ブラックと類似の製品は, 2010年頃からあって, 複数個持っていたのを順に試したが, 古いものは 設定>サウンド>入力 に現れ選択できる形で現れるものの, ドライバが非対応なのか, 音声入力に反応しなかった. 使用可能だったのは上であげたもののみ]