樋口三郎の授業情報@龍谷大学先端理工学部数理・情報科学課程

樋口三郎の授業情報@龍谷大学先端理工学部数理・情報科学課程

前期の紙課題をリサイクルする,または二酸化炭素を排出する紙課題をなぜまだ使うか?

課題やテストはLMSで行うことが増えているが,樋口の対面授業科目では,指定の紙に記入してもらって回収する形式も多く使っている.学期末には研究室に大量の紙がたまるが,成績計算にミスがないことがはっきりした学期終了後の9月末にはリサイクルに出してよいことになっている.枚数を概算してみる.

  • 線形代数☆演習
    • trial(小テスト) 1枚x30回x100人=3000
    • チーム課題(グループワーク) 1枚x15回x100人/ 2(人/チーム) =750
  • 確率統計
    • trial(小テスト) 1枚x15回x100人=1500
    • チーム課題(グループワーク) 1枚x15回x100人/ 2(人/チーム) =750

よくあるA4コピー用紙の段ボール箱1個強か*1.

ワークフローはこう.

  1. 学生さんが授業中に記入済み課題を提出する(ソートはしない.表裏上下は揃える)
  2. TAが赤ペンで annotate する
  3. 教員が茶ペンで点数とフィードバックを記入する(「P」:過程不足のような符号あり)
  4. 学籍番号と点数のペアをファイルに記入する
  5. 記入済み答案をスキャンしてPDFに変換する
  6. Moodleの課題で点数と答案画像PDFをフィードバックする(通知あり)

紙のメリット(LMSのデメリット?)はいくつか.

  • 数式やグラフのLMSへの入力にはまだ課題が多い(何とかしようとしている方々がいる *2 ).
  • ある種の共同作業には紙のほうが向いている(という主張がある*3 ).
  • (共同)作業手順を反映した凝ったレイアウトを教授者がするとき,紙の方がLMSよりもコストが低い.
  • Moodle LMSにはQuizの共同受験の機能がない.課題の共同提出には,グループを教員があらかじめ決めておくことが必要.

専用の紙を配って記入してもらうけど,提出は学生さんがカメラ撮影してLMSにアップロードという方式も考えられる*4.まあそれでもいいのだが,あまりに高性能なスキャナが課程事務室にあって,Moodle LMSのDocument Converterにこれを上回る設定ができないということが大きい.教員による添削も添削も,数式やグラフに加筆するのは手書きのほうがLMSの採点ツールより楽ということがある*5.

*1:余裕を持って印刷するので,他に余りの用紙がでるが,これは両面片面に応じて裏紙または即リサイクル

*2:

  • 白井, 詩沙香, 仲村, 裕子, 福井, 哲夫, 数式自動採点システムにおける数式入力インタフェースの提案と評価, 情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE). 1 (2015) 11–21. https://cir.nii.ac.jp/crid/1050564287859235200
  • 原敬広, 中村泰之, 手書き解答数式オンラインテスト環境の試作, 数理解析研究所講究録. 2022 (2017) 157–163. https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/231777/1/2022-18.pdf

    *3:

  • 今本恕., 高田秀志, 紙媒体を用いた作業の特長を誘発する協調検索支援システム, 情報処理学会論文誌. 59 (2018) 723–733. http://id.nii.ac.jp/1001/00185790/
  • Haberr, J., Naceta, M.A. and Carpendate, S.: Paper vs Tablets: The Effect of Document Media in Co-located Collaborative Work, Proc. 2014 International Work- ing Conference on Advanced Virtual Interface, pp.89–96 (2014)

    *4:Moodle LMSでは,課題をグループ単位で提出できるが,グループは教員があらかじめ決めておくことが必要

    *5:テキスト入力やルーブリックに沿った採点はMoodleの採点ツールのほうが速い