樋口三郎の授業情報@龍谷大学先端理工学部数理・情報科学課程

樋口三郎の授業情報@龍谷大学先端理工学部数理・情報科学課程

2017年度の特別研究審査会 + 新旧特別研究メンバー合同ミーティング 実施レポート

2018-02-06火に, 特別研究(卒業研究)メンバーの発表(=特別研究審査会)がありました*1. 卒業論文タイトルはこちら. 途上でいろんなことを教えてもらいました. 学科の優秀プレゼンテーション賞をもらう人もいるらしいです. すばらしい.

  • Web上の会社概要から比較表を生成するWebアプリケーション
  • 複数の授業を統合し出席を管理するシステム
    • ファイルアップロード時の一時ファイルの扱いのことを教えてもらいました.
  • Phaser を用いたゲーム制作Webアプリケーションの開発
  • Moodle の chat 型意見投稿プラグイン開発
  • ゲーミフィケーションを用いた個別学習塾に おける生徒の学習意欲の維持・向上の為の Moodle の学習ポイント管理 Plugin
    • Moodle のブロックプラグインと, 自動インストール設定のことを教えてもらいました.
  • LINEとMoodleを用いたQuiz出題解答システム
    • LINE Messaging API で replyToken をデータベースに記録して特定のユーザとトークすることを教えてもらいました.
  • LINE Messaging APIぐるなび Web Serviceを用いたレストラン検索システム

その後, 2018年度の特別研究メンバーと現メンバーとのミーティング. 樋口はスケジュールと研究テーマ案を熱く語りました. 現メンバーは, 特別研究の奥義を語ってくれたものと思います. 夜は, Team539 始まって以来の3,4年生合同の振り返り, aka「追いコン(学部)」 寄せ書きももらいました. ありがとう〜

3年生には, ここの発表の他に, 他研究室の発表も1か所くらい行くといいね, と言ってたのですが, 間違えて他学科の発表にお邪魔していた人がいたことが発覚. むしろそのほうがよかったかも(多様性の面から). 来年からはスケジュールを調べて推奨しようかな. こちらも学内の他学部他学科他学年の方の参加(=聴講+評価への参加)歓迎です.

*1:来場者による発表のルーブリック評価も地味にやってました

計算機実習室でWeb/ファイル非参照テスト(CBT) using Safe Exam Browser + Moodle

2017年4月から, 龍谷大学瀬田学舎情報メディアセンターの実習室にインストールされているWindows 用アプリ Safe Exam Browser =SEB (2.1.3)の説明です. 紙やWeb(Moodle)で出題した問題で, Moodleに解答入力してもらう, ただし解答入力以外のコンピュータの使用を禁止する, ような定期試験に使います.

機能

SEBはWebブラウザですが, ユーザがMoodleに接続し小テスト(Quiz)の受験を開始した後は, (適切に設定してあると)コンピュータのスクリーン全体を占有し, 選択肢選択, テキスト入力など, Quiz受験に必須なもの以外のすべての操作をトラップし*1, ローカルファイルやWebの参照やローカルアプリの実行をできなくします. すなわち, Safe Exam Browser=SEB は, LMSで非参照試験を行うための, テスト専用Webブラウザです. LMS Moodle (情報メディアセンターでも運用しています)では, 特定の小テスト(Quiz)を, SEB経由でしか受験できないように設定できます.

使用方法(学生向け)

計算機実習室で小テストを受験するのに, ChromeなどのブラウザでMoodleにログインして小テストのアイコンをクリックするのではなく, 教員から何らかの方法で提供される, *.seb というファイルをダブルクリックします. Safe Exam Browser が起動し, 現れるログインページでMoodleにログインし, スクリーンの指示に従います. 受験を完了した後は, 電源ボタンのようなアイコンでデスクトップに戻ります.

使用方法(教員向け)

  1. Moodleで小テストを作ります. 小テスト管理>受験に関する特別制限>ブラウザセキュリティ で「Safe Exam Browserの使用を必要とする」を選びます*2. URLをメモします.
  2. 教材作成室または計算機実習室の SEB Config Tool *3で, *.seb ファイルを作ります. 最低限必要な設定は, 次です*4.
    1. パスワード(ファイルを暗号化するためのもので, 後で教員が編集する際に必要. 学生には無関係)
    2. 上でメモした小テストのURL
  3. 試験時間に, 学生に *.seb ファイルを配布します. 例えば, Moodle 上や Rドライブで.

使用方法(管理者向け)

計算機実習室では, すでに設定済みなので一般学生・教員が気にすることはありませんが, たぶん, 次のようなことをされたのだと思います. 1. SEBSEB Config Tool に対になる暗号鍵を組み込む. 1. SEBSEB Config Tool をインストールするのはもちろん, SEBと連携して(Control-Alt-Deleteを禁止ししたりする)サービスをインストールして常時起動する.

計算機実習室でカジュアルな CBT=Computer Based Test を実施するには(長いです)

試験の解答方式には, (1)多肢選択, (2)語句記述, (3)文章記述, (4)数値記述, (5)数式記述, (6)描画 (7)プログラム作成などがあります. 定期試験などでは, ふつうはこれらを紙に筆記用具で解答して提出します. (1)-(4)は, LMS(学習支援システム)が問題として出題でき, また多くの学生がタイプによる回答に困難を感じないものです. コンピュータに直接回答してもらったら, 紙はいらないし, そのままデータになります*5. なお, 問題文の提示はLMS上, 紙上, 黒板上のいずれでも行えます.

コンピュータへの回答してもらう上で, 障害になるのが参照条件です. 教科書ノート参照不可で試験をする場合, 通常は人間の試験監督が, この条件が守られていることを検証します. コンピュータを回答に使う場合, ローカルファイルの参照, ローカルアプリの使用, Webの参照, メールなどによるコミュニケーション*6の参照可否を決める必要がありますが, これらを禁止する場合, 本のような物理的実態がないため, 人間の試験監督が検証するのはより困難です*7. さらに, Web上で動作する LMSでは, 試験監督のいる試験場外からの受験を禁止する必要があります.

これらには次のような解決がありえますが, 設定・検証するのには労力が必要です.

  • ローカルファイルの参照の禁止は, 初期化された受験専用アカウントを使用することで実現できます.
  • ローカルアプリの使用, Webの参照, メールなどによるコミュニケーションは, ローカルPC上の授業支援ソフトウェア(CaLaboなど)を適切に設定すると禁止できる場合があります*8.
  • 試験場外からの受験は, MoodleなどのLMSの設定で, IPアドレスベースや, その場で与えるテスト専用パスワードで制限できることがあります.

これらを一括して, 別のレイヤーで解決する策として, テスト受験中はコンピュータの画面を占有し, 選択肢選択, テキスト入力以外のすべての操作をトラップするような, テスト受験専用ブラウザを利用するというものがあります*9. 上記SEBはその例です.

コンピュータを使ったプログラミングの試験, 製図の試験なども考えられます. この場合が, SEBはこのような場合にも利用できます*10.

*1:設定で範囲を指定できます. Control+Alt+Deleteも「無効」にします

*2:MoodleMoodle plugins directory: Safe Exam Browser quiz access ruleがインストールされていると, Allowed Browser Exam Keyを指定して, より安全な設定ができます

*3:自分で別の場所にインストールしたものではだめです. 計算機実習室の SEB, SEB Config Tool には, 対になった暗号鍵が組み込まれています.

*4:学内の方は, 個人的にご連絡くださればサンプルファイルをお渡しします

*5:場合によっては自動採点もできます.

*6:今となってはWebの参照との区別の境目はあいまいです

*7:ログから事後に検証できることはあります.

*8:CaLaboでには, URLのホワイトリスト, ブラックリストを設定できます

*9:Moodle本体だけでも, 小テスト管理>受験に関する特別制限>ブラウザセキュリティ で「JavaScriptセキュリティを含むフルスクリーンポップアップを必要とする」である程度の対策ができます

*10: (5)-(6) は単純なタイプでなく, 作成・検証する専用のソフトウェアを実行し, 場合によってはファイルアップロードで回答するほうが普通でしょう. 授業支援ソフトウェア, SEBは, これらのうち特定のものだけを禁止・許可することができます.

卒業/修了時のデータバックアップ(2018年3月)

情報メディアセンターのサービスやデータやメールアドレスは卒業後は使えなくなります*1. データをバックアップしておきましょう. 卒業式の日やその後も自習室は開いていますが, その日は何かと忙しいので, 今のうちにやっておきましょう.

Gmail, Google Drive, G-Suite のバックアップ

  • Gmail・Google ドライブのデータをダウンロードする方法について - Info Fukakusa
  • 龍大Gmailアドレスで他のサービスに登録している人は, 別の個人アドレスに変更しておく方がいいでしょう. メールが届かなくなってから変更するのはなかなか面倒.
  • 卒業前に Gmailの転送設定をしておくと, 卒業後も転送を受けることができます.
  • 年度末に退学する場合には, GmailGoogle Apps の1か月の猶予はなく, 3月31日に有無を言わさず無効化されるらしいです*2. 何とか生の場合も? 大注意.
  • 大学院進学などでひきつづき在学する方も, アカウントとしては, 廃止-新規であり, バックアップ-リストアが必要なのでご注意.

他にバックアップするもの

  • Manaba course
  • OneDrive*3
  • Qドライブ 実習室でメディアにコピーするのが現実的でしょう
  • Linux home (理工学部) 実習室でメディアにコピーするのが現実的でしょう
  • 樋口のMoodle (樋口の授業に参加した人)
  • 樋口のeポートフォリオ Mahara (樋口の授業に参加した人) *4
  • 研究室のプロジェクトに参加していた人は, データやソースや資料や装置やドキュメントの引き継ぎがあると思います

hig3r.hatenadiary.com

*1:教育系情報サービスの利用停止日および必要データの退避について案内文書が卒業可否通知に同封されるそうです

*2:銀赤の全学認証を経由していくWebインターフェースはだめだけど, Google Apps側は無効化されていなくて, IMAPとかでは使えるという説

*3:Office のアプリも使えなくなります

*4:Maharaはeポートフォリオのコンテンツのポータビリティを保証するためのLeap2Aフォーマットでのエクスポートに対応しています

コンテスト紹介: CCCマーケティング Data Democracy Days

コンテストというべきかインターンシップというべきか. 2月中旬までに志望動機やスキルを記して(分析や提案はしないで)応募して, 選考を通過すると, 3月中旬から4月上旬まで, 現地で分析と提案を行うというもの.

提供予定データ:T会員6,500万人の購買データ(ID-POSデータ)など

ってのがすごい.

個人情報保護法的に問題ない形で実施するのは, 主催者の責任であって, 応募者の責任ではないのでしょう. まあでも自分のTカードのことは気になりますね.

www.cccmk.co.jp

数理情報学科 特別研究審査会2017(で学習教育支援システムとWebアプリケーション)

樋口特別研究(=卒業研究)の指導教員をさせてもらっている4年生の, プレゼンテーションによる審査があります. 中心的テーマは学習教育支援Webシステムのはずですが, 使っている技術・デバイス・サービスからすると, JavaScript, Phaser.js, PHP, Moodle, LINE Messaging API, Bot, ぐるなびWeb Service みたいな感じです.

  • 日時 2018-02-06 火10:00-11:20 (7名x(発表7分+質疑3分))
  • 場所 龍谷大学瀬田学舎3号館1階 3-101
  • プログラム 1号館5階などに掲示されてます.

審査なんで, だれでもいくらでも質問できるってわけでありませんが, どなたでもご来聴歓迎です. 特に数理情報学科の3年生は(来年自分がする)研究と発表ののりを知る機会, 2年生は来年研究室を選ぶ上での情報を得る機会, 1年生は学部4年間の到達点を知るための機会なので, ぜひどうぞ.

hig3r.hatenadiary.com

2018年3月の成績配布/履修説明会/ガイダンス(と2017年度卒業式と2018年度入学式)の日程 - 春休み明けの大学はいつから?

本来, 日程は龍谷大学 履修要項WEBサイトですべてわかるようになったはず.

(学部によっては)全学ポータルの学年暦やお知らせにも載ってるでしょう.

  • 2018-02 下旬 学術研究生出願(学部卒業生向け)
  • 2018-02 中旬 -- 03上旬 研究生, 特別専攻生出願(大学院修了生向け)
  • 2018-02 下旬 卒業可否を郵送で通知(4年生全員)
  • 2018-03-01 このころ, 理工学部の2016年度1,2,3年生の留年者に郵送で通知(進級者には通知なし).
  • 2018-03-16瀬田学舎 卒業式
  • 2018-03-19理工学部 成績配布・ガイダンス・履修説明会 時刻や場所は掲示やポータル参照
  • この間に成績疑義や履修登録
  • 2018-04-01日 学年始っていうのは元日みたいなもの その日から毎日何かがあるわけじゃない
  • 2018-04-02月 瀬田学舎 入学式
  • 2018-04-03火 -- 2018-04-07土 履修指導期間. 1年生は毎日何かがある*1けど, 2-4年は, 時々, 健康診断や, 特定の説明会や届出や, Web経由の登録があるだけ.
  • 2018-04-04水 履修説明会(1年生向け)
  • 2018-04-05理工学部の1年生向けには, 希望者が参加する奨学金の説明会のみで, 他のイベントはないみたい. これはたまたまで, 他の学部は, 日曜日まで休日的なものはないみたい.
  • 2018-04-08日 1年生向けには, イベントがあっても自由参加, または休日になるらしい

  • 2018-04-09月 授業開始

期日や期限は1次情報でチェックしてください.

数理情報学科カレンダーも参照

論文 Anomalous diffusion analysis of the lifting events in the event-chain Monte Carlo for the classical XY models

元Team539メンバーの木村健治さんと書いた論文が Europhysics Letters に掲載されました. 木村さんは2016年9月に数理情報学科の大学院で博士号を取得され, 現在は京都大学で研究員をされています.

MCMCの Metropolis-Hastings アルゴリズムでは, 希望する確率分布を極限分布として得るために, 十分条件である detailed balance condition がマルコフ連鎖に対して成立するように作るわけですが, より弱い条件で(=DBCを破って), 希望する確率分布を極限分布として得る高速なアルゴリズム群が注目をあびています. そのひとつ, 古典スピン系の ECMC=event-chain Monte Carlo アルゴリズムの振る舞いを理解したいのですが, 更新されるスピンの位置=lifting variable を力学的自由度と見なすと, random walk in random environment ととらえられます. この walk が, 特定の場合には anomalous になっていることを数値実験で指摘したものです. 木村さんの数値計算の野性解放です.