樋口三郎の授業情報@龍谷大学先端理工学部数理・情報科学課程

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manaba で学生さんからの1:1質問を受ける/回答するには「個別指導コレクション」

学生からの1:1質問とは?

manaba には掲示板(スレッド)*1という機能があり, 教員の設定と無関係に, 学生が科目の質問や意見を書き込める*2. 書き込んだ内容は教員と全受講者が読むことができる.

このことを利用して, 龍谷大学の2020年度前期のオンライン授業下では, 学生が教員への問合せ, 質問をしたいときは掲示板に書き込むことが推奨されている.

もちろん, 教員がメールアドレス, Microsoft Team アカウントなどを公開している場合は学生はそれらで質問することができる*3. ここでは, 学生が, 他の学生に公開することなく, 教員に質問や問合せを manaba 内でだけで行える*4, 教員はどの学生からの質問かわかる, ようにする設定を説明する*5

方法

掲示板のすぐ上にある「個別指導(コレクション)」で, 「個別指導コレクションの作成を学生に「許可する」」設定をして, 「掲示板と個別指導コレクションの両方で質問・回答する」ことを明示することを推奨する. レポートやプロジェクトを使う方法もある.

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個別指導コレクション

龍谷大学manabaでは有効になっているオプション機能*6. 教員と学生の間で1対1の「交換日記」をすることのできる機能. 「個別指導コレクションの作成を学生に「許可する」」設定をしておくと, 学生側から話しかけることができるようになる. manaba 内の専用1対1メールシステム, ということもできるだろう.

hig3r.hatenadiary.com

  • Cons 教員の回答を臨時にクラス全体に公開したり, あるグループの学生に同じ回答をしたいときは, コピー&ペーストを繰り返さなければならない
  • TAや他の教員と回答を分担したい場合, コース設定>コースメンバー登録で授業補助者3,4,5のいずれかに設定する. 学生・教員には, だれが回答したかが表示される. この場合は学生1:教員n.

既存のレポートのコメント

「提出者本人と教員のみ閲覧・コメント可(個別指導)」の設定にしておくと, レポートの採点後にコメントの往復で質問・回答ができる.

質問専用レポート

「質問があれば書いてください」のようなオンライン入力レポート*7を設けることができる. 「提出者本人と教員のみ閲覧・コメント可(個別指導)」の設定にしておく. 回答は講評またはコメントに書く.

  • Cons 複数回の質問を可能にするには, 再提出を許可しておく(前回の質問-回答は消される)か, 毎回教員が再提出を要求しなければいけない.

質問専用プロジェクト

学生1名ごとにチームを作ると, 教員-学生間の1対1の掲示板として使える*8.

  • Cons 学生1名ごとにチームを作るには学生の人数だけのクリックが必要.

学生からの1:1質問って必要なの?

掲示板での「公開」質問にはいいことしかないように思える. 公開の場での質問を書くことにより学生は理解しやすい質問を吟味して書く. 質問によって他の学生の理解が深まる. 回答が全員に共有されるので, 教員は同じ答を複数回する必要がない. そして教員は学生がよい質問をするのを見ると心地よい. それに対して他の学生がよい答をするのを見るともっと心地よい.

学生は, 科目内で大きな被害を受けずに試行と失敗を繰り返す機会を持つことが望ましい. 他の人にとって無用な質問でも,本人にとって重要な質問を, 気まずくならずにできる環境が望ましい.

学生の概念の認知の過程は人それぞれであり, ある人の疑問が他の人の共感を得るとは限らない. 共感をもって受容されるには, あるいは共感もって受容されると確信できるには, 受講者間で信頼が醸成されていることが必要である.

オンライン授業下では, 対面ならできる学生間の会話での疑問の解決が起きにくい. 授業後に教員をつかまえて質問するような自然な1:1質問機会が少ない. また, 受講者間の信頼の醸成には時間がかかる. したがって, manaba などのLMS上では, 公開の質問と, 1:1の質問を併用することが必要と考える.

manaba.jp

*1:https://doc.manaba.jp/doc/course2-manual/teacher2.94/ja/#menu-08

*2:教員が投稿に気づくにはリマインダ設定しておくとよい https://doc.manaba.jp/doc/course2-manual/teacher2.94/ja/#menu-01-03

*3:例えば先端理工学部では全学部生向けに全専任教員のメールアドレスが公開されている

*4:すなわち, メールは禁じ手とする

*5:Twitterなどにある匿名質問箱は, 誰からの質問か回答者にもわからない, 回答は質問者個人でなく全体に対してしか行えない, 点で, ここでいう1:1質問とは異なる

*6:https://doc.manaba.jp/doc/online-help/coursecollection_teacher_ja/

*7:https://doc.manaba.jp/doc/course2-manual/teacher2.94/ja/#menu-05-01

*8:https://doc.manaba.jp/doc/course2-manual/teacher2.94/ja/#menu-09