樋口三郎の授業情報@龍谷大学先端理工学部数理・情報科学課程

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計算機実習室でディスプレイ2面で資料を見せて授業するには

情報メディアセンターの計算機実習室には, 1人PC1台メインモニタ(M)1画面の他に, 教材提示用のセンターモニタ(中間モニタ)(C)が, 2人に1画面の割合で備わっています. センターモニタ(C)には授業支援システムTroute PLUSで様々なソースの画像を送ることができます. 一方, メインモニタ(M)には普通は教員が用意する画像を送れません. しかし, たとえば学生さんと教員がGoogle Apps for Education の図形描画ドキュメントを共有して開いておけば, 授業用の白板として使うことができます, というのがこの記事の趣旨です.

普通の授業方法

センターモニタ(C)には, Troute PLUSの機能を使って, プロジェクタ(P)同様, 教員用PCのデスクトップや, 外部AV入力, 外部VGA入力, OHCなどの映像を出すことができます. 普通はここに教材を提示して授業するわけですね.

一方, ディスプレイ(D)には, このような映像を送ることはできません. Troute PLUSの機能で, 操作をロックしたり, ブラックアウトさせたり, 逆にこのデスクトップの画像を教員PCに取ってきたりすることはできますが…

ふだんから黒板が狭い~とかプロジェクターの解像度が低い~とか不満を言っている教員は, このディスプレイ(D)にも教員側から映像を送って, 2つのディスプレイを使ってプレゼンテーションをしたくなるかもしれません. たとえば, 一方ではPowerPointなどのフルスクリーンの画像を見せ, もう一方ではその場で行う手書きの説明を見せるとか. こういうのは, 黒板とスクリーンの両方がある普通教室では当たり前に行われていることですよね*1.

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ここで提案する方法

メインモニタ(M)は, 操作ロックしても, YouTubeUstream などの動画サイトをブラウザで開いていれば, 再生が続くことを利用します.

センターモニタ(C)ではPowerPointやPDFの資料を提示します(そして教員の指定するタイミングでページを送ります). 一方, メインモニタ(M)では板書のような映像を送ります. それには Google Apps for Education の Drawings (図形描画) https://support.google.com/docs/bin/answer.py?hl=ja&answer=185180&topic=29442 を利用します. このアプリケーションでは, マウスや, 教員用PCに接続されたタブレット手書きの自由図形を描くことができます.

図形描画文書のrandom URLを学生さんに伝えて開いてもらった後で, Troute PLUSで操作ロックします. 教員が文書に自由曲線を描くと, ほぼリアルタイムで学生の画面に反映されます. もし受講者だけが見られることを確信したいなら, Google Drive の提供する種々の認証&認可が利用できます. さらに, (操作ロックしない状態で)学生さん側からの書き込みも許すことができます.

同種の方法

Drawings でなく, 以下に述べるようなサイトを開いてもらうことが考えられます.

  • ライブ中継できる動画中継サイト. 板書や, ノートへの手書きをビデオカメラなどで撮って生放送します.
    • YouTube Live
    • Ustream Live
    • Google Hangout on AIR
      • ホワイトボード相当の機能があるので, それだけ使ってもいいのかも
  • WebホワイトボードタイプのWebアプリケーション. 一方のブラウザで描いた静止画が自動的に他方のブラウザに反映される
    • Google Apps for Education の Google Drive 上の文書共有.
      • 上で述べたもの
    • NOTA2
    • awwapp.com
      • これは学内ではファイヤウォールが間にあるためか更新が遅すぎてだめでした…
    • 一定時間間隔でreloadされるWebページ. 教員がページを書き換える.

別種の方法=学生さんを人間扱いしない方法

明らかにありうる方法として, センターモニター(C)ではその場での手書きを見せ, メインモニタ(M)では, あらかじめ各PCに配布しておいた, またはWeb上の資料を, 学生さんの操作で1ページずつ見てもらう, というものがあります.

この1ページずつのページ送りは, 学生さんの操作に依存することになります. つまり, 学生さんは必要に応じて最初のほうに戻って内容を確認したりする自由があります. ただ, このような状況下では, 学生さんは, 別のWebページを眺めたりゲームをしたりする誘惑と戦わなければいけません. この苦難を味わわなくてすむようにするのが, 上で述べたメインモニタ(M)を操作ロックするという方法です.

操作ロックは学生さんを子供扱いしているとお考えになる方もいらっしゃるかもしれません. しかし…会議中に別のWebページを眺めたりゲームをしたりしたくなるのは学生さんだけでしょうか. …な会議でよく見かけるシーンは… これはヒトという好奇心旺盛な哺乳類の習性で, 学生さんがそのような衝動に駆られないと想定することは, 学生さんをヒトとして扱わないということなんじゃないかと…

*1:ちなみに2面という意味では, ディスプレイ(D)とプロジェクタ(P)に別々の画像を出すことができるわけですが, プロジェクタ(P)の画像がすべての席から見やすい教室ばかりではありません