樋口三郎の授業情報@龍谷大学先端理工学部数理・情報科学課程

樋口三郎の授業情報@龍谷大学先端理工学部数理・情報科学課程

瀬田学舎4-209講義室の授業収録設備による撮影とデジタルコンテンツ配信システムへの登録の方法

龍谷大学瀬田学舎4号館4-209講義室の授業収録設備*1*2*3*4*5と, 情報メディアセンターのデジタルコンテンツ配信システムを利用してみたので, その手順を説明する.

4-209講義室

定員480, 試験定員278. ゆるやかな階段教室. 黒板は上下2連x横に2個. 両者の中央にプロジェクター用スクリーン. このスクリーンが大きいのはいいが, 上下させる(メディア教卓から操作して)には時間がかかる. 教室の照明やカーテンは, 教卓に比較的近い位置の壁にあるスイッチで操作できる.

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授業収録設備

これはEcho360のようなWebベースで配信と統合された専用システムではなく, 以下のような業務用監視カメラと民生用テレビ放送録画機器を組み合わせたもの.

[asin:B0035Q4WLY:detail]

  • 教卓. タッチパネルで選択できる AVソースのひとつに「録画機」, モニタソースにAV, 設置PCに加えて「カメラ」 f:id:hig3:20161015093850j:plain

撮影手順

  1. 4-209講義室を, 学期単位で, または臨時に瀬田教学部で予約する. 授業収録設備の使用を届ける必要はない.
  2. 講師控室で教卓鍵を借りる.
  3. 他教室と同様に教卓の電源を入れる.
  4. 教卓右下の扉を開錠する. 最下段の「録画機」の電源を入れる(本体またはリモコンで). リモコンの入力切替でL1を選ぶ(本体にL1と表示される).
  5. システムコントローラの収納されている. 教卓左の引出を開錠する.
  6. ワイヤレスマイクを使用する(この音声が直接記録される). 教室の環境音を録音する常設マイクはない.
  7. メディア教卓のAVソースを録画機, モニタソースをAVとして, 教卓のモニタで, 録画機経由のカメラ画像を確認する.
  8. システムコントローラ(登録+パトロール停止同時押し)で常時パトロールを停止し, スティックで録画したい方向に向け, ズームで撮影範囲を決める. フォーカスを調節する*6*7.
  9. 録画機のリモコンで, 録画画質を選ぶ. SP程度か*8.
  10. プロジェクタを使用する場合には, この状態だとプロジェクタに録画機を経由したカメラの画像が出てしまうので, AVソースをPCやOHCとする. その場合に撮影範囲をモニターで常時確認するには, モニタソースをカメラとする.
  11. 録画機のリモコンのカバー内の録画ボタンを押し, 録画を開始する. 本体に赤いランプが点灯する. ポーズ, 再開もできる*9.
  12. 収録が終了したら, 録画機のリモコンの停止ボタンを押し, 録画を終了する.
  13. 録画機の電源を切る.
  14. 教卓の電源を切る.

動画ファイルのエクスポート手順

DVD-R/RW/RAMに書き出す*10. 詳細は DMR-XP25V説明書 参照. 最終的にDVDプレイヤーで視聴するならDVD-Video(メディアとしてはDVD-R4.7GBなどが可能)が, 自分で編集したり下記のデジタルコンテンツ配信システムに登録したりするなら DVD-VR(メディアとしてはDVD-RW4.7GBなどが可能)が現実的と思われる.

教卓と録画機の電源の入った状態で, 録画機の画面をモニタに出して操作する*11.

  1. 録画機のリモコンの「スタートメニュー」から, DVD管理を選び, DVDをビデオまたはVRでフォーマットする.
  2. 録画機のリモコンの「スタートメニュー」から, ダビングを選び, ウィザードに沿って進めて書き出す. *12.
  3. 録画機の録画一覧から, 録画を消去する*13

動画ファイルの変換と編集手順(省略可)

上で得られたVROは, LP, SPともVideo:アスペクト比3:4,MPEG-1/2, 720x480, フレームレート 29.97, Audio:A52 Audio (AC3)48kHz 256kbps だった. LP80分で 1.3GB, SP80分で2.3GBくらいになった.

DVD-VRモードで書きだした場合, 拡張子 VROのファイルがMPEG2の複数の動画が収められているコンテナ. Windows Media PlayerVLC で開くと再生できる. これを拡張子mpegに変更すると, MPEG2のファイルと誤解して扱ってくれる再生用ソフトウェアや変換用ソフトウェアも多い.

最近の多くの動画編集用ソフトウェアでは, ソースとしてMPEG-4を想定しているので, 編集しようと思ったらまず変換しておく必要がある. 無料で使える変換用ソフトウェアとしてAny Video Converter, Wondershare Video Converter Free = 動画・音楽変換! フリー版 などがあるようだ. VLCにもMPEG-4での書き出し機能があるが, たとえばiMovieでは正常にプレビューできなかった.

SPで撮ってVRで書き出し, MaciMovieで編集して(たまたま黒板が16:9くらいだったので自動で16:9にcropさせて), MPEG-4で書き出して YouTube にアップロードしたサンプル動画.

https://youtube.com/watch?v=w8sxjA_Pulkyoutube.com

[asin:B00EJ9D3PW:detail]

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情報メディアセンターのデジタルコンテンツ配信システムへの登録手順

(Upddate 2020-09-19 2019年度に配信システムは廃止されたので, Google Drive か, YouTube を使う. 下はそのままでなくだいぶ編集を加えたもの. 視点移動は編集でなく教室カメラのPTZによる) youtu.be

Sonyの法人用コンテンツ管理配信システムOPSIGATE. これは, 静止画やサウンドや文書のファイルも登録・公開できるが, 実質的には「動画ストリーミング用サーバ」ととらえられる*14*15*16.

  1. 情報メディアセンターで文書「龍谷大学デジタルコンテンツ配信システム利用申請書/にかかる運用方法について」を受けとる.
  2. 利用申請書に記入しファイルとともに学内便などで提出する. 許容されるファイルの形式には, MPEG-2, MPEG-4が含まれて, VIDEO-VRの, 拡張子VROのファイルをそのまま提出しても処理していただけた*17.
  3. 1週間程度で登録が完了して, URLがメールで担当者から送られてくる.

サンプル動画 確率統計及び演習Ⅰ(2016)L06 連続型確率変数

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https://asset.media.ryukoku.ac.jp/ml/p/#3099 (要全学認証) (2019年度サービス終了)

謝辞

収録設備の使用にあたって, 瀬田教学部から説明とマニュアルをいただいた.

個人的回想

樋口は2003-2006年頃に, 定期的に授業を収録したり, 2005年にはFD自己応募研究プロジェクト授業動画デジタルキャプチャ運用技術の開発と応用のfundingをうけて, 収録サービスを提供したりしていた. そのころ, 講義者がワンマンで収録するときは, PTZカメラSony EVI-D30エンコード用PCを毎回持ち込んで撮影したりしていた.
[asin:B00008B4PC:detail]

4-209の収録設備を, 当時と比較してみる.

  • 音声 以前は, 教室前部にマイクをおいて有線でつないでいた. これだと, いかに指向性マイクと言っても, 教室内のノイズを多く拾ってしまっていた*18. 現在の4-209では, 教室スピーカーにつながるマイク音声(というか, スピーカー用に選択されたサウンドソース)がそのまま録音されるようになっていて, ノイズの心配はないし, 講義者が2個のマイクのオンオフを気にする必要はない*19.
  • 動画 以前は, 黒板の文字が読める程度のズームで録れるように, ビデオカメラは教室前部に置く必要があった. その位置で黒板全体をカバーするためにはPTZカメラである必要があった. またこの位置だと, 意図せず学生さんが映ってしまうことがあった. 現在の4-209では, 教室後部の天井近くにPTZカメラが設置されており, 黒板のみ, スクリーンのみを撮ることができる*20.
  • エンコーディングとエクスポート EVI-D30は, (現在では絶滅寸前の)コンポジット出力するカメラだったので, デジタルビデオに記録して, IEEE1394経由でPCに取り込んでMPEG-2にエンコード, などとやっていたが, 4-209のハードディスクレコーダではMPEG-2で記録されている*21.

Khan Academy 以来, スクリーンキャストの比重が増してきている. 話者の顔がなくても信頼感は低下しない, という研究があるそうだが, 教室収録に比べてちょっと息苦しい感じがするのはなぜ?

https://youtube.com/watch?v=unbaVtlu6KEyoutube.com

*1:教学部の「出講手帳」には記載がないが, 情報メディアセンターの「教育へのICTサービス活用ガイドブック」に記載されている. 瀬田学舎での問い合わせは瀬田教学部に, とのこと.

*2:瀬田学舎では2-220にも授業収録設備があるが, 執筆時点では調整中とのことだった.

*3:瀬田学舎の最大の教室8-103にも当初から撮影設備が設置されている. 教室後方にビデオカメラ(リモコン無し?), 教卓にPanasonicのHDDレコーダDMR-BW970とビデオカメラのコンポジット出力が備えられている. が, 教卓鍵だけでは電源ONにならない.

*4:8-101, 8-102は, マイクの音声とAV教卓の出力がミックスされてAV教卓のRCAコンポジット映像, 赤白ステレオオーディオ端子に出力されるので, ここから自由な媒体に記録できるようだ.

*5:2003年頃に設置された7号館講義室1,2間での映像伝送システムは, VHSビデオテープへの記録機能を備えていたが現在はどうなっているのか. 教室後部にはカメラ, 教卓にPTZコントロールスティックを見ることができる.

*6:これらは撮影中に変更することもできる. プリセットして選択することもできる. 説明書参照 WV-CU161C 説明書. テンキーに続けてプリセットでプリセット位置に移動, テンキーに続けて登録+プリセット登録同時押しでプリセット登録. 2017-11-24時点でのプリセットは, 1:左黒板,2:スクリーン,3:右黒板,4:スクリーンに隠れない左黒板,5:左右黒板とスクリーン,6:スクリーンに隠れない右黒板

*7:プリセットを設定しようとしてカメラを特定の状態にしたとき, カメラをモニタに出したとき, 録画機をモニタに出したときで, モニタに表示される範囲が異なる. 後者のほうが下流なのに広い! モニタのトリミングの問題だろうから後者を信じる

*8:録画機の時計が1月1日のままであるのが気になって設定したくなってしまうかもしれないが, 日時は(i)EPGから取得するようになっており, アンテナやネットワークが接続されていないので, 日時を正しく設定することはできない. 授業の日時の記録が残らないのは少し不便

*9:授業内での提示は可能だが動画にして公開することのできない資料を提示する際はポーズしておくか音声がないならカメラを別の方向に向けておくと編集で削除しなくてもすむ

*10:VHSビデオやSDカードスロットもあるが書出先にはならない

*11:これはWebなどでは行えず, 4-209教室を占有して行う必要がある. 教卓と録画機の電源が切られないかぎり, 他の授業を実施したり, 録画したりしながら行うことができる

*12:90分の授業で, 再エンコードを行わない「高速書込」なら10-20分程度かかる(ので次の授業に注意). 画質を変更して再エンコードすると実録が時間くらいかかってしまう.

*13:録画機は家庭用でユーザの概念がないので, 記録された動画は誰でも視聴/書出できてしまう. 学内運用ルールとしては, 「消去しておくこと」などとは定められておらず, いまのところHDD容量は逼迫していないようだ.

*14:YouTubeに対する優位性は, サイズの制限が緩いこと, 学籍番号によるアクセス管理ができること, である. YouTube で授業を見られる恥ずかしさとかにはもはや麻痺しているのだが, YouTube で公開しようとすると, 視聴者の利益のために, 学生さんの演習活動の実質的無音静止画部分をカット, 学内向け連絡部分をカット, くらいはしたくなってしまうのだが, デジタルコンテンツ…だと, 撮ったそのままで公開しても許される感があってよい. ただし, 龍谷大学にはGoogle Apps for Education もあるので, そこでYouTubeを有効化すれば, 学籍番号による管理は可能になる. また, 現状のデジタルコンテンツ…では学生さんがコンテンツを登録することはできなくて, どこかの授業で教員がコンテンツをとりまとめてチェックして登録申請しなければいけない.

*15:視聴側はJava Runtime, Flash Playerが必要. iOS, Android 対応オプションは導入されてない.

*16:2019年10月末サポート終了予定. そりゃ Flash が終わるんだからしかたない.

*17:チャプターは2分間隔で機械的に打たれた.

*18:最近は, Bluetoothマイクがあるので, 講義者の音声を直接ビデオカメラに送るようにしている

*19:ただし, 録画中は画像のモニタはできるが音声のモニタはできないし, ボリュームはスピーカーのものしかないので, 音声レベルは初期設定を信じるしかない.

*20:ただし, EVI-D30のコントローラは赤外線リモコンだったが, 4-209のカメラのコントローラは有線で, 操作者がメディア教卓の位置に戻らないと録画範囲を変更できない. この10年で一般化の進んだ民生用監視カメラの領域では, スマートフォンからインターネット経由でコントロールするものが多いが, 4-209のように多数の利用者があるシステムでは採用は難しかっただろう.

*21:ただし, 現在のメモリービデオは直接MPEG-4で録画するものが多く, 本文でも書いたように, iMovieなどはソースとしてMPEG-2を受け付けない. また, DVDでなく, SDカードでエクスポートできたり, WiFiで接続してダウンロードできたりものが多い. YouTubeもデジタルコンテンツ配信システムもDVD-VRMPEG-2を受け付けるのだからわがまま言い過ぎだが, 教卓上に音声と画像の出力があれば, 利用目的に即して最適な記録方法を選ぶのに, とも思う. 追記:8-101,102にはまさにその出力がある.