近々, 瀬田学舎で統計検定4級,3級,2級,準1級の団体特設会場受験が行われます.
公式サイトによれば, 各級の内容はそれぞれ,
- 4級 中学(資料の活用) 修了
- 3級 高校(データの分析) 修了
- 2級 大学基礎科目
- 準1級 大学基礎科目より進んだ応用的手法
とされていますが, 例えば龍谷大学理工学部数理情報学科のカリキュラムで言うと, どの科目の内容がわかってればどの級? 昨年度はここまで調べてました.
大学での統計学のカリキュラムを考えるときにまず基準とすべきは, 統計学の各分野における教育課程編成上の参照基準. 数理情報学科の場合, 数理科学分野や情報科学分野を参照することになります. 参照基準内では, 統計検定との対応や, 「評価に統計検定を使用することも考えられる」などの記述が見られます. 年によって, また生活の中の統計技術はクラスによっても内容は変化しますが, 各科目と2級, 準1級の出題内容のマッピングをしてみました. 自分はあとどこを補充すればいいのかを考えるのにご利用ください.
なお, この表は現実にあわせて今後も随時更新します. カリキュラムのほうも, 参照基準
- http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-23-h151217.pdf
- http://www.jfssa.jp/ReferenceStandard2.pdf
を見ながら微調整されていくでしょうし.
まあ, ある科目でt検定やったって言っても, t検定について何ができればいいかは, いろんな要求レベルがありえますよね.
3級は高校修了となってますが, 早稲田大学政治経済学部の初期段階の科目で3級を初期段階の評価に利用しているところなどを見ると, 大学低学年の学生にとって3級合格は立派な成果だと思います.
なお, 最近の確率統計及び演習IIと計算科学及び実習Bは, 確率統計及び演習Iを前提科目としています.
2級
大分類 | 小分類 | 事項 | 生活の中の統計技術 | 確率統計及び演習I | 確率統計及び演習II | 計算科学及び実習B | 大学院科目群 |
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データソース | 身近な統計 | 調べる場合のデータソース、公的統計など | |||||
データの分布 | データの分布の記述 | 質的変数(カテゴリカル・データ) | ○ | ||||
データの分布 | データの分布の記述 | 量的変数(離散値、連続値) | ○ | ○ | |||
データの分布 | データの分布の記述 | 棒グラフ、円グラフ、 | ○ | ||||
データの分布 | データの分布の記述 | 幹葉図、 | ○ | ||||
データの分布 | データの分布の記述 | 度数分布表・ヒストグラム、 | ○ | ○ | |||
データの分布 | データの分布の記述 | 累積度数グラフ | ○ | ○ | |||
データの分布 | データの分布の記述 | 分布の形状(右に裾が長い、左に裾が長い、対称、ベル型、一様、単峰、多峰) | ○ | ||||
1変数データ | 中心傾向の指標 | 平均値 | ○ | ○ | |||
1変数データ | 中心傾向の指標 | 中央値、最頻値(モード) | ○ | ○ | |||
1変数データ | ばらつきの指標 | 分散(n-1で割る)、標準偏差、範囲(最小値、最大値)、四分位範囲(四分位偏差)、 | ○ | ○ | |||
1変数データ | ばらつきの指標 | 箱ひげ図 | ○ | ○ | |||
1変数データ | ばらつきの指標 | ローレンツ曲線、2つのグラフの視覚的比較、カイ二乗値(一様な頻度からのずれ) | |||||
1変数データ | 中心とばらつきの活用 | 偏差 | ○ | ||||
1変数データ | 中心とばらつきの活用 | 標準化(z得点)、変動係数、指数化 | ○ | ||||
1変数データ | 中心とばらつきの活用 | 変動係数 | ○ | ||||
1変数データ | 中心とばらつきの活用 | 指数化 | |||||
2変数データ | 散布図と相関 | 散布図、相関係数、共分散 | ○ | ○ | |||
2変数データ | 散布図と相関 | 層別した散布図、相関行列、みかけの相関(擬相関)、偏相関係数 | |||||
2変数データ | カテゴリカルデータ | 度数表、2元クロス表 | ○ | ||||
データの活用 | 単回帰と予測 | 最小二乗法 | ○ | ○ | |||
データの活用 | 単回帰と予測 | 変動の分解 | ○ | ||||
データの活用 | 単回帰と予測 | 決定係数、回帰係数 | ○ | ○ | |||
データの活用 | 単回帰と予測 | 分散分析表、観測値と予測値、残差プロット、標準誤差、変数変換 | ○ | ||||
データの活用 | 単回帰と予測 | 標準誤差、 | |||||
データの活用 | 単回帰と予測 | 変数変換 | ○ | ||||
データの活用 | 時系列データの処理 | 成長率、指数化、幾何平均、系列相関・コレログラム、トレンド、平滑化(移動平均) | |||||
推測のためのデータ収集法 | 観察研究と実験研究 | 観察研究、実験、調査の設計、母集団、標本、全数調査、標本調査、ランダムネス、無作為抽出 | |||||
推測のためのデータ収集法 | 標本調査と無作為抽出 | 標本サイズ(標本の大きさ)、標本誤差、偏りの源、標本抽出法(系統抽出法、層化抽出法、クラスター抽出法、多段抽出法) | |||||
推測のためのデータ収集法 | 実験 | 実験のデザイン(実験計画)、フィッシャーの3原則 | |||||
確率モデルの導入 | 確率 | 事象と確率、加法定理 | ○ | ○ | |||
確率モデルの導入 | 確率 | 条件付き確率、乗法定理、ベイズの定理 | ○ | ||||
確率モデルの導入 | 確率変数 | 離散型確率変数 | ○ | ○ | |||
確率モデルの導入 | 確率変数 | 連続型確率変数 | ○ | ○ | |||
確率モデルの導入 | 確率変数 | 確率変数の期待値・分散・標準偏差 | ○ | ○ | |||
確率モデルの導入 | 確率変数 | 確率変数の和と差(同時分布、和の期待値・分散) | ○ | ||||
確率モデルの導入 | 確率変数 | 2変数の共分散・相関 | ○ | ||||
確率モデルの導入 | 確率分布 | ベルヌーイ試行 二項分布 | ○ | ||||
確率モデルの導入 | 確率分布 | ポアソン分布、幾何分布 | ○ | ||||
確率モデルの導入 | 確率分布 | 一様分布 | ○ | ||||
確率モデルの導入 | 確率分布 | 指数分布 | ○ | ||||
確率モデルの導入 | 確率分布 | 正規分布 | ○ | ○ | |||
確率モデルの導入 | 確率分布 | 2変量正規分布 | ○ | ||||
推測 | 標本分布 | 独立試行 | ○ | ○ | |||
推測 | 標本分布 | 標本平均の期待値・分散 | ○ | ○ | |||
推測 | 標本分布 | チェビシェフの不等式 | ○ | ||||
推測 | 標本分布 | 大数の法則、中心極限定理 | ○ | ||||
推測 | 標本分布 | 二項分布の正規近似 | ○ | ||||
推測 | 標本分布 | 連続補正 | |||||
推測 | 標本分布 | 母集団、母数(母平均、母分散) | ○ | ||||
推測 | 標本分布 | 標準正規分布、標準正規分布表の利用 | ○ | ○ | |||
推測 | 標本分布 | t分布 | ○ | ||||
推測 | 標本分布 | カイ二乗分布 | ○ | ||||
推測 | 標本分布 | F分布分布表の活用、上側確率点(パーセント点) | ○ | ||||
推測 | 標本分布 | 上側確率点(パーセント点) | ○ | ||||
推測 | 推定 | 点推定、推定量と推定値 | ○ | ||||
推測 | 推定 | 有限母集団 | |||||
推測 | 推定 | 一致性、不偏性、 | ○ | ||||
推測 | 推定 | 信頼区間、信頼係数 | ○ | ○ | |||
推測 | 推定 | 正規母集団の母平均・母分散の区間推定 | ○ | ○ | |||
推測 | 推定 | 母比率の区間推定 | ○ | ||||
推測 | 推定 | 相関係数の区間推定 | |||||
推測 | 推定 | 正規母集団の母平均の差・母分散の比の区間推定 | ○ | ||||
推測 | 推定 | 母比率の差の区間推定 | ○ | ||||
推測 | 仮説検定 | 仮説検定の理論、p値、帰無仮説と対立仮説 | ○ | ||||
推測 | 仮説検定 | 両側検定と片側検定 | ○ | ||||
推測 | 仮説検定 | 第1種の過誤と第2種の過誤、検出力 | ○ | ○ | |||
推測 | 仮説検定 | 母平均の検定 | ○ | ○ | |||
推測 | 仮説検定 | 母分散の検定 | ○ | ||||
推測 | 仮説検定 | 母比率の検定 | ○ | ||||
推測 | 仮説検定 | 母平均の差の検定(分散既知、分散未知であるが等分散、分散未知で等しいとは限らない場合) | ○ | ||||
推測 | 仮説検定 | 母分散の比の検定 | ○ | ||||
推測 | 仮説検定 | 母比率の差の検定 | ○ | ||||
推測 | 仮説検定 | 適合度検定 | ○ | ||||
推測 | 仮説検定 | 独立性の検定 | ○ | ||||
線形モデル | 回帰分析 | 回帰直線の傾きの推定と検定 | ○ | ||||
線形モデル | 回帰分析 | 重回帰モデル、偏回帰係数 | ○ | ||||
線形モデル | 回帰分析 | 回帰係数の検定 | ○ | ||||
線形モデル | 回帰分析 | 多重共線性 | ○ | ||||
線形モデル | 回帰分析 | ダミー変数を用いた回帰 | ○ | ||||
線形モデル | 実験計画の概念の理解 | 実験、処理群と対照群、反復、ブロック化、一元配置実験、 | |||||
線形モデル | 実験計画の概念の理解 | 3群以上の平均値の差(分散分析) | |||||
線形モデル | 実験計画の概念の理解 | F比 | |||||
活用 | 統計ソフトウェアの活用 | 計算出力を活用できるか、問題解決に活用できるか | ○ | ○ | ○ | ○ |
準1級
大分類 | 小分類 | 事項 | 生活の中の統計技術 | 確率統計及び演習I | 確率統計及び演習II | 計算科学及び実習B | 大学院科目群 |
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確率と確率変数 | 事象と確率 | 確率の計算,統計的独立 | ○ | ||||
確率と確率変数 | 事象と確率 | 条件付き確率,ベイズの定理,包除原理 | ○ | ||||
確率と確率変数 | 確率分布と母関数 | 確率関数 | ○ | ○ | |||
確率と確率変数 | 確率分布と母関数 | 確率密度関数 | ○ | ○ | |||
確率と確率変数 | 確率分布と母関数 | 同時確率関数,周辺確率関数,条件つき確率関数,条件つき確率密度関数 | ○ | ||||
確率と確率変数 | 確率分布と母関数 | 同時確率密度関数,周辺確率密度関数,条件つき確率密度関数,累積分布関数 | ○ | ||||
確率と確率変数 | 確率分布と母関数 | 生存関数 | |||||
確率と確率変数 | 確率分布と母関数 | モーメント母関数(積率母関数) | ○ | ||||
確率と確率変数 | 確率分布と母関数 | 確率母関数 | ○ | ||||
確率と確率変数 | 分布の特性値 | モーメント,歪度,尖度,変動係数,相関係数,偏相関係数,分位点関数,条件つき期待値,条件つき分散 | |||||
確率と確率変数 | 変数変換 | 変数変換,確率変数の線形結合の分布 | ○ | ||||
確率と確率変数 | 極限定理,漸近理論 | 大数の弱法則 | ○ | ○ | |||
確率と確率変数 | 極限定理,漸近理論 | 少数法則 | ○ | ||||
確率と確率変数 | 極限定理,漸近理論 | 中心極限定理 | ○ | ○ | |||
確率と確率変数 | 極限定理,漸近理論 | 極値分布 | |||||
確率と確率変数 | 極限定理,漸近理論 | 二項分布の正規近似 | ○ | ||||
確率と確率変数 | 極限定理,漸近理論 | ポアソン分布の正規近似 | |||||
確率と確率変数 | 極限定理,漸近理論 | 連続修正,デルタ法 | |||||
種々の確率分布 | 離散型分布 | 離散一様分布,ベルヌーイ分布,二項分布 | ○ | ||||
種々の確率分布 | 離散型分布 | ポアソン分布,幾何分布 | ○ | ||||
種々の確率分布 | 離散型分布 | 超幾何分布,負の二項分布,多項分布 | |||||
種々の確率分布 | 連続型分布 | 連続一様分布,正規分布 | ○ | ||||
種々の確率分布 | 連続型分布 | 指数分布,ガンマ分布 | ○ | ||||
種々の確率分布 | 連続型分布 | ,ベータ分布 コーシー分布,対数正規分布 | |||||
種々の確率分布 | 連続型分布 | 多変量正規分布 | ○ | ||||
種々の確率分布 | 標本分布 | t 分布 | ○ | ||||
種々の確率分布 | 標本分布 | カイ二乗分布 | ○ | ||||
種々の確率分布 | 標本分布 | F 分布(非心分布を含む) | ○ | ||||
統計的推測(推定) | 統計量 | 十分統計量,ネイマンの分解定理,順序統計量 | |||||
統計的推測(推定) | 各種推定法 | 最尤法,モーメント法,最小二乗法,線形模型 | |||||
統計的推測(推定) | 点推定の性質 | 不偏性,一致性,十分性,有効性,推定量の相対効率,ガウス・マルコフの定理 | |||||
統計的推測(推定) | 情報量規準 | AIC,カルバック・ライブラー情報量 | ○ | ||||
統計的推測(推定) | 漸近的性質 | フィッシャー情報量,情報量不等式,最尤推定量の漸近正規性,デルタ法,ジャックナイフ法 | |||||
統計的推測(推定) | 区間推定 | 信頼係数,信頼区間の構成(母平均,母分散,母比率,2 標本問題),被覆確率,片側信頼限界 | |||||
統計的推測(検定) | 検定の基礎 | 仮説,検定統計量,P 値,棄却域,第一種の過誤,第二種の過誤,検出力(検定力),検出力曲線,サンプルサイズの決定,多重比較 | ○ | ||||
統計的推測(検定) | 検定法の導出 | ネイマン・ピアソンの基本定理,尤度比検定,ワルド型検定,スコア検定,正確検定 | ○ | ||||
統計的推測(検定) | 正規分布に関する検定 | 母平均,母分散に関する検定,2 標本問題に関する検定 | ○ | ||||
統計的推測(検定) | 一般の分布に関する検定法 | 二項分布,ポアソン分布など基本的な分布に関する検定,適合度検定 | |||||
マルコフ連鎖と確率過程の基礎 | マルコフ連鎖 | 推移確率,既約性,再帰性,定常分布 | ○ | ||||
マルコフ連鎖と確率過程の基礎 | 確率過程の基礎 | ランダムウォーク | ○ | ||||
マルコフ連鎖と確率過程の基礎 | 確率過程の基礎 | ポアソン過程,ブラウン運動 | |||||
回帰分析 | 重回帰分析 | 重回帰モデル,変数選択,残差分析,一般化最小二乗推定,多重共線性,L₁正則化法 | |||||
回帰分析 | 回帰診断法 | 系列相関,DW 比,はずれ値,leverage,Q-Q プロット | |||||
回帰分析 | 質的回帰 | ロジスティック回帰,プロビット分析 | ○ | ||||
回帰分析 | その他 | 一般化線形モデル,打ち切りのある場合,比例ハザード | ○ | ||||
分散分析と実験計画法 | 一元配置,二元配置,分散分析表,交互作用,ブロック化,乱塊法,一部実施要因計画,直交配列,ブロック計画 | ||||||
標本調査法 | 有限母集団,有限修正,各種の標本抽出法 | ||||||
多変量解析 | 主成分分析 | 主成分スコア,寄与率,biplot | ○ | ||||
多変量解析 | 判別分析 | フィッシャー線形判別, 2 次判別,SVM,正準判別 | |||||
多変量解析 | クラスター分析 | 階層型クラスター分析・デンドログラム,k-means 法,距離行列 | ○ | ||||
多変量解析 | 共分散構造分析と因子分析 | パス解析,因果図,潜在変数,因子の回転 | |||||
多変量解析 | その他の多変量解析手法 | 多次元尺度法,正準相関,対応分析,数量化法 | |||||
時系列解析 | 自己相関,偏自己相関,ペリオドグラム,ARIMA モデル,定常性,階差,状態空間モデル | ||||||
分割表のモデル | 対数線形モデル,オッズ比,階層モデル,条件つき独立性,グラフィカルモデル | ||||||
欠測値 | 欠測メカニズム,EM アルゴリズム | ||||||
モデル選択 | 情報量規準,AIC,cross validation | ||||||
ベイズ法 | 事前分布,事後分布,階層ベイズモデル,ギブスサンプリング,Metropolis-Hastings 法 | ○ | ○ | ||||
シミュレーション,計算多用手法 | ジャックナイフ,ブートストラップ, | ||||||
シミュレーション,計算多用手法 | 乱数,棄却法,モンテカルロ法,マルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)法 | ○ | ○ |